2012年6月14日14時、両石虎舞について両石虎舞保存会会長の洞口さんにお話をうかがいました。
~洞口さんのお話し~
「両石地区は震災の津波で町内95%が流出しました。震災時は大槌町内で勤務中に地震発生し、これはすぐに津波が来ると感じ、車で約20分、両石地区にある自宅に向かいました。(会長自身一昨年まで消防団に在籍していたためです)
自宅は地区内でも高台だが両親(父91歳、母86歳)が心配になり家から出して、後から奥さんも近くの勤務先から自宅に来て家族4人で避難する事を考えました。津波の第1波が町内に流出してきたのを見て、ここに津波が来るかも知れないと思い、周りの避難者達と津波避難場所に指定されていた両石幼稚園に避難をしました。
この時には周りに60名位の人達と一緒にいました。
第2,3波と津波が押し寄せてきましたが直ぐに裏山に全員逃げ延び助かりました。」
現在洞口さんは仮設団地で生活しています。
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▲自宅に飾っていた水彩画で2003年千葉淳さん作。
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洞口さん「会員は全員無事です。両石地区の消防団員で各自仕事を持っています。
虎舞の道具が全て保管していた漁村センターごと流されました。その5,6日後に町内会と消防団で瓦礫の片づけのさなか虎頭一体、衣装の一部が見つかった。避難していた幼稚園は津波で建物ごと無くなっていました。」
▲津波で流され後から見つかった虎頭(木製)と洗浄後の写真
▲これは震災以前に撮った(多分2~3年前)一枚。
洞口さんは「この虎の険しい表情が良い」と語っておられました。
洞口さん「虎頭は知人、友人、皆が修復を手伝ってくれ割れた所は釘を打ちペンキ屋さんが色をぬり仕上げてくれた。両石虎舞が早く活動できたのは虎頭が見つかったのも要因。虎舞のズボンは市内の衣料品店で購入し、虎の模様や色は自分達で染めて前掛け、手平鐘も自分達で作りました。
両石地区の住民は各仮設団地に離れ離れで生活を送り、両石に集まる事がなかったため、 一早く虎舞の復興に動き出したんです。
会員は全員両石の消防団員なので連絡も取れやすく、その頃は瓦礫の片づけもしながら虎舞を早く復活しようとみんなが一緒に動いてくれましたよ。」
▲今年のお正月に両石の港で披露した写真。
会長さんがみなさんに見て欲しいと自身のパソコンに保管していました。
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洞口さん「道具の虎頭、屋台小屋、太鼓等は多方面から支援が来ていて屋台小屋の費用だけでも約700万円かかるんです。
まだまだ揃わないですが、地元の両石伊勢神社の奉納祭までになんとか間に合えばいいと仰っていました。
来年の元日には、また町内の人たちが集まり、みんなで虎舞を舞います。」
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洞口さんお話し頂きありがとうございました。
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